Futagoyama Nature Conservancy
二子山山系自然保護協議会
昨年(2013年)春ごろより、葉山町町内各所でイノシシの目撃情報が報告され、徐々に農作物への被害が広まって行きました。
当初数頭の目撃情報が、今年(2014年)に入って、5頭のウリ坊(イノシシの子ども)が目撃されるようになりました。今では、成獣となった5頭が群れになって各地で農作物に甚大な被害を及ぼすとともに、住宅地近くまで進出、小学校の校庭から数十メートルところでも目撃されるようになりました。
本来生息していないはずのイノシシの出現が、二子山山系の自然に与える影響は小さくありません。山麓の畑や田んぼが被害を受け、丹精込めて育てていた作物が収穫できなくなった農業従事者や家庭菜園所有者は、嫌気して耕作放棄し荒れ地を増やすきっかけにもなる恐れがあります。
里山の自然は、田んぼや畑を維持することにより守られてきた一面もあり、自然の遷移によらず、意図的にイノシシを放獣した(証拠はありませんが)ことにより生態系のバランスに悪影響を与えています。
また、イノシシが人間の生活圏に侵入することにより、住民に危害を加えられたり交通事故や感染症等も発生する恐れがあります。
一旦生息してしまったイノシシを絶滅させることは不可能です。2018年3月末時点で推定60頭以上の生息すると思われ、今後まだまだ増加すると考えられます。これからは、いかにイノシシと共存していくかを考える必要があります。イノシシと人間の生活圏を分離することが唯一の共存方法です。そのためには、人里がイノシシにとっては決して住みやすい環境でないことを示してやることが必要です。二子山山系の森林と人里の間に緩衝帯を設置して人里慣れしたイノシシを作らないことが必要です。
二子山山系自然保護協議会は、今後、二子山山系の山裾2地域で緩衝帯設置のための、ヤブ刈り・草刈りを実施していきます。また、他の地域の緩衝帯設置の支援に取り組んでいきます。
1.イノシシの目撃情報や被害状況の情報収集・共有
2.防御方法に関する講習会や勉強会の開催
3.葉山町、神奈川県他関係機関との連絡調整
4.イノシシ被害防御緩衝帯の設置に伴うヤブ刈り・草刈りの実施
詳しい情報は、上記連絡先までお問い合わせください。
以下の facebookページに、最新の情報を掲示していますのでご覧ください。
イノシシ被害対策プロジェクトでは、「ヤブ刈り」を、昔(60年以上前)、田んぼや畑、宅地などに人が利用していた平坦な場所を中心に実施します。平坦な場所であれば、ヤブ刈り作業も比較的容易であり危険度も少なく、平であることで、ヤブ刈り後利活用してもらえる可能性も高く、整備が継続して行われることが期待できます。山林等の傾斜地は、作業の難易度が高く、専門的な知識・経験のない我々では、リスクが高く難しいこと、また傾斜のある場所の利用者を探すことは困難です。
イノシシ被害防御のための緩衝帯を設置するためにヤブ刈りを実施するのであり、ヤブ刈りだけでは作業は終了しません。その後継続して草刈り等の整備作業が容易に実施できるように環境作りもヤブ刈り作業の一環として実施します。右の写真のようなヤブ刈りによって生じた伐採樹木や竹の最終処分までの保管場所となる大型のゴミ箱の設置も行います。
左側の地図の③奥の湿地。奥にあった孟宗竹の小さな竹林も完全に伐採し、2020年6月時点では、このような状態になっています。
かながわ鳥獣被害対策支援センターが撮影した二子山山系に生息するイノシシの生態動画をセンターの許可を得て転載します。
以下はセンターのコメントです。
「場所は滝の坂で、5月15日22時頃の撮影です。
その他いくつかの映像から、オトナ2頭とウリボウ10頭のグループと推測されます。13日に子を連れていないメス2頭が撮影されていたので、同じ個体であれば、映像のウリボウは生後1、2日のものと思われます。」
イノシシの生態等を撮影した動画は、「葉山わな猟の会」のフェイスブックページで最新のものを見ることができます。